介護職員処遇改善加算について

 処遇とは、「人を評価し、それに応じた扱いをすること」です。

 処遇改善とは、各職員の働きを正当に評価して、給与の増額や福利厚生の充実などを行うことです。そのための費用を基本報酬とは別に、加算算定して請求することができるというのが、介護職員処遇改善加算です。

 介護職員処遇改善加算は、他の業種と給与面の格差が出ないように、職員に直接メリットを出すことを目的としています。事業主が潤っても職員に恩恵があるわけではない、あるいは、業績不振でも職員への打撃を最小限に抑える必要があることから、基本報酬とは別に設けられています。

 ここで、事業者には「算定」という課題が課せられます。平成27年度改定では、介護職員処遇改善加算は、4段階に分かれています。それぞれに要件がありますので、それを満たせるかどうかによって算定金額も異なります。厳しい要件をクリアできれば、算定金額も増えます。

 介護職員処遇改善加算は、職員のためのものですので、事業者には直接の利益にはなりません。むしろ、算定の書類を用意したり、要件を満たす取り組みをしたり、作業が増えるため敬遠する事業者もいます。気持ちはあっても、できない事業者もいます。
 だからこそ、事業者が本当に職員を大切に思っているかを推し量るひとつの目安になり得るといえます。


平成27年度4月1日からの加算の拡充

新設の加算Ⅰでは、介護職員1人当たり月額12,000円相当拡充されました。加算要件を満たすには、平成27年4月1日から実施する処遇改善の取組の記載が必要です。

加算Ⅰ加算Ⅱ加算Ⅲ加算Ⅳ
新設従来の加算Ⅰ従来の加算Ⅱ従来の加算Ⅲ
(介護職員1人当たり)
月額27,000円相当
(介護職員1人当たり)
月額15,000円相当
(介護職員1人当たり)
月額13,500円相当
(介護職員1人当たり)
月額12,000円相当
キャリアパス要件①と②

職場環境等要件の
両方を満たす
キャリアパス要件①または②

職場環境等要件
を満たす
キャリアパス要件①または②
または職場環境等要件の
いずれかを満たす
キャリアパス要件①・②
と職場環境等要件の
すべてを満たさない


キャリアパス要件

  • キャリアパス要件①
    職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
    • 任用要件とは
      介護福祉士等の資格要件、経験年数、介護技術、研修受講歴、過去に従事していた職務内容を踏まえて、職位や職責(たとえば、介護長、主任、副主任、一般)等を定めることを指すします。また、パート職員等の有期雇用契約により雇用している従業者を正規雇用職員にする場合にあたっての要件を定めることも該当します。
    • 賃金体系とは
      職務や職能に応じた等級を決めることや、役職、資格、能力、経験や職務内容に応じた手当を定める等があります。(例:介護福祉士や訪問介護員研修棟の受講状況に応じた賃金水準の策定、「人事考課制度」人事評価結果(実績評定、勤務態度評価、能力評価)を踏まえた賃金への反映。)
  • キャリアパス要件②
    資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
    • 資質向上とは
      利用者のニーズに応じた良質なサービスを提供するための介護技術、コミュニケーション技術、協調性、問題解決能力、マネジメント能力の向上や資格取得(介護福祉士等)などです。

      (厚労省Q&Aより)

職場環境等要件(旧定量的要件)

職員への周知処遇改善の取組について介護職員への周知が必要

  • 資質の向上
    • 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する者への実務者研修受験支援や、より専門性の高い介護技術取得しようとする者に対する喀痰吸引認知症ケアサービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援(研修受講時の他の介護職員の負担を軽減するための代替職員確保を含む)
    • 研修の受講キャリア段位制度と人事考課との連動
    • 小規模事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
    • キャリアパス要件に該当する事項(キャリアパス要件を満たしていない介護事業者に限る)
    • その他
  • 職場環境・処遇の改善
    • 新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者)制度等導入
    • 雇用管理改善のため管理者の労働・安全衛生法規、休暇・求職制度に係る研修受講等による雇用管理改善対策の充実
    • ICT活用(ケア内容や申し送り事項の共有(事業所内に加えタブレット端末を活用し訪問先でアクセスを可能にすること等を含む)による介護職員の事務負担軽減、個々の利用者へのサービス履歴・訪問介護員の出勤情報管理によるサービス提供責任者のシフト管理に係る事務負担軽減、利用者情報蓄積による利用者個々の特性に応じたサービス提供等)による業務省力化
    • 介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフト等の介護機器等導入
    • 子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備
    • ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
    • 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化
    • 健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化職員休憩室・分煙スペース等の整備
    • その他
  • その他
    • 介護サービス情報公表制度の活用による経営・人材育成理念の見える化
    • 中途採用者(他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等)に特化した人事制度の確立(勤務シフトの配慮、短時間正規職員制度の導入等)
    • 障害を有する者でも働きやすい職場環境構築や勤務シフト配慮
    • 地域の児童・生徒や住民との交流による地域包括ケア―の一員としてのモチベーション向上
    • 非正規職員から正規職員への転換
    • 職員の増員による業務負担の軽減
    • その他

介護職員処遇改善加算の変遷

 平成27年度改正で大きく取り上げらえた介護職員処遇改善加算ですが、その流れを知らずしては正しく算定ができません。

 介護職員本人の処遇に対するものとして、平成21年10月から実施された「介護職員処遇改善交付金」から理解しておきましょう。交付金額よりも1円でも多く賃金が支給された場合に支払われたものです。
 介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円を交付するもので、できる限り毎月の給料に上乗せする形で支払うよう求められました。
 
 平成24年4月からは、介護職員処遇改善加算として実施されています。過去の計画、実績報告などが、実地指導で確認される場合もありますので、過去の給与資料などを参考にして、特に実績報告を整理しておきましょう。

名 称期 間主な内容
処遇改善加算
期中改定(予定)
平成29年4月~●考え方として、「介護職員の資質向上や雇用管理改善の一層の推進」や「現行の処遇改善加算(I、II、III、IV)の上に、月額3万7000円相当の上乗せを行うことを要件の1つとする新たな加算区分を設ける
●新加算区分では、現在の加算Iの要件(キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境要件のすべてを満たす)に加えて、新たな『キャリアパス要件III』をも満たすことを求める
●『キャリアパス要件III』は、事業所内で(1)経験年数(2)資格(3)事業所内での評価―のいずれか(組み合わせも可能)に応じた昇給(基本給、手当、賞与などを問わない)の仕組みを設け、これを就業規則等の明確な根拠規定の書面での整備・全ての介護職員への周知していることとする
処遇改善加算平成27年4月~考え方として、「介護職員の資質向上や雇用管理改善の一層の推進」や「職員の自発的資質向上やキャリア形成を支援する労働環境整備」などが明示された。
算定要件はⅠ~Ⅳ
処遇改善加算平成24年4月

平成27年3月
23年度まで実施の交付金による賃金改善の効果を継続する目的。事業者には下記の課題が与えられた。
①加算の算定額に相当する賃金改善の実施
②介護職員処遇改善計画書の作成
③キャリアパス要件等届出書の作成 など
算定要件はⅠ~Ⅲ
処遇改善
交付金
平成21年10月

平成24年3月
介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円を交付
原則として指定基準上の介護職員、介護従業者、訪問介護員等として勤務している職員


算定要件や加算の区分

 基本的には、一層の処遇改善がなされるように要件が追加されています。

  • 27年度改定 介護職員処遇改善加算(H27.4~)
    •  24年度介護職員処遇改善の仕組みを維持しつつ、一層の資質向上・雇用管理の改善・労働環境の改善に取り組む事業所を対象とし、上乗せ評価を実施。

      新設の 加算の算定要件

      • キャリアパス要件
        Ⅰ 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること。
        Ⅱ 資質向上のための計画を策定して研修の実施または研修の機会を確保すること。
      • 職場環境等要件
        平成27年4月以降、賃金改善以外の処遇改善への取り組みを新たに実施すること。 

      加算の区分

      加算の種類加算の単位数
      キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、および職場環境等要件をすべて満たす対象事業者介護報酬単位数×サービス別加算率(ア)
      キャリアパス要件ⅠまたはⅡのどちらかを満たすことに加え、職場環境等要件を満たす対象事業者介護報酬単位数×サービス別加算率(イ)
      キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、または職場環境等要件のいずれかを満たす対象事業者介護報酬単位数×サービス別加算率(イ)×0.9
      キャリアパス要件および職場環境等要件のいずれかも満たしていない対象事業者介護報酬単位数×サービス別加算率(イ)×0.8

      加算算定対象サービス

      サービス区分(ア)(イ)
      (介護予防)訪問介護
      夜間対応型訪問介護
      定期巡回・随時対応型訪問介護看護
      8.6%4.8%
      (介護予防)訪問入浴介護
      (介護予防)通所リハビリテーション
      3.4%1.9%
      (介護予防)通所介護4.0%2.2%
      (介護予防)特定施設入居者生活介護
      地域密着型特定施設入居者生活介護
      6.1%3.4%
      (介護予防)認知症対応型通所介護6.8%3.8%
      (介護予防)小規模多機能型居宅介護
      複合型サービス
      7.6%4.2%
      (介護予防)認知症対応型共同生活介護8.3%4.6%
      介護福祉施設サービス
      地域密着型介護老人福祉施設
      (介護予防)短期入所生活介護
      5.9%3.3%
      介護保健施設サービス
      (介護予防)短期入所療養介護(老健)
      2.7%1.5%
      介護療養施設サービス
      (介護予防)短期入所療養介護
      (病院等(老健以外))
      2.0%1.1%


  • 24年度創設 介護職員処遇改善加算(H24.4~)
    •  介護職員処遇改善交付金の相当分を介護報酬に円滑に移行するために創設。交付金による賃金改善の効果を継続する狙い。

      加算の区分

      加算の種類加算の単位数
      算定要件のうち、キャリアパス要件及び定量的要件のいずれも満たす場合介護報酬単位数×サービス別加算率
      算定要件のうち、キャリアパス要件及び定量的要件のいずれかを満たす場合介護報酬単位数×サービス別加算率×0.9
      算定要件のうち、キャリアパス要件及び定量的要件のいずれも満たしていない場合介護報酬単位数×サービス別加算率×0.8

      加算の算定要件

      • Ⅰ 必須要件(1)(2)(3)のいずれも満たすこと
        (1)賃金改善等に関する計画を作成し、全介護職員に周知するとともに、都道府県知事等に届け出たうえで、加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること。
        (2)事業年度ごとに、介護職員の処遇改善に関する実績を都道府県等に報告すること。
        (3)労働に関する法令に違反し、罰金以上の刑に処せられていないこと。また、労働保険料の納付が適切に行われていること。
      • Ⅱ キャリアパス要件 (1)または(2)のいずれかを満たすこと
        (1)介護職員の任用等の要件(賃金に関するものを含む)を定め、全介護職員に周知していること。
        (2)介護職員の資質向上のための計画を策定し、その計画にかかわる研修の実施または研修の機会を確保するとともに、全職員に周知していること。
      • Ⅲ 定量的要件
        (1)平成21年10月から加算の届け出日の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く)の内容及び要した費用を全介護職員に周知していること。
        ※任用等の要件整備、研修実施、介護補助器具等の購入、健康診断の実施、職員休憩室の整備 など
  • 介護職員処遇改善交付金(H21.10~)
    •  介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、介護職員(常勤換算)1人当り月額平均1.5万円を交付するものです。できる限り毎月の給料に上乗せする形で支払うことが求めらています。

      交付金を上回る賃金改善計画を事業年度ごとに策定

      職員に周知

      都道府県に申請

      承認されれば、介護報酬とは別に毎月自動的に交付される

厚生労働省ホームページより抜粋
※詳しくは、厚生労働省のHP等でご確認ください。