ES担当者の役割り

 最近、人事担当とは別に、ES担当者を配置する介護事業所が増えてきました。ES担当者は専任ではなく、現場職員が係として任ぜられることが多いです。現場のことを良く分かっている人でないと、うわべだけの制度づくりになってしまうからです。

 ES担当者は決定権があるわけではないので、最終的には経営者、管理職が解決すべきことと、理解しておきましょう。成果を求めると、逆に公正さを欠くことにもなり得ると、任命側(経営者・管理職)も認識しておくことが大切です。

 労働組合でもありません。これは、その他の職員が認識しておくべきことです。不満のはけ口としてES担当者にぶつけたり、経営側との調整を求めたりすることは間違いです。

 また、一般的に職場環境改善というと、メンタルヘルス対策が目的とされますが、対人援助職の介護事業では利用者満足に直結する人材育成がメインになります。ES担当者は、深刻なことに関わる専門家ではありません。ES担当者自身が重い責務に苛まれることがないよう注意が必要です。

 事業所評価では、主として第三者評価事業があります。評価基準の考え方や評価のポイントなどが公表されていますので、参考にすると良いでしょう。

  • ESチェック(経営者・管理職用)
    •  経営者・管理職は、職員が働きやすい環境を整える義務があります。気持ちよく働いてもらえれば、社風も良くなり、利用者の居心地も良くなります。

      1職員は笑顔で働いていますか
      2社内いじめはありませんか
      3通路に段ボールなどの荷物が置きっぱなしになっていませんか
      4トイレやお風呂は、介助しやすい空間ですか
      5職員はきちんと休憩が取れていますか
      6職員用ロッカーや休憩室は整理され、居心地良い空間になっていますか
      7離職者の離職理由は正しく把握していますか
      8処遇改善加算は算定していますか
      9研修計画は立てていますか
      10職員が自発的に参加する研修会などの、受講料や交通費を補助していますか
      11利用者獲得を職員に課していませんか
      12クレームや事故対応にあたり、職員を責めていませんか
      13職員に働いてくれることへの感謝を表していますか
      14職員に会社の将来ビジョンを伝えていますか
      15道具などを購入する際、使いやすさより値段の安さを優先していませんか


ES担当者の仕事

 ES担当者は決定権があるわけではなく、成果に責任を負うものでもありません。
 現場の意見を集約して経営者や上司に提案することが役割りです。

働きやすい設備や道具の用意

  • 介護業務をやりやすい動線の確認
  • 使いやすい設備や道具の用意
  • 身体に負担が無い設備や道具の用意
  • トイレやふろ場など、介助スペースの確認

風通しの良い社風づくり

  • 指示系統の明確化
  • 報告連絡相談の教育とシステム化
  • 職員への情報提供
  • 職員の意見を吸い上げる仕組みを構築
  • パワハラやセクハラの監視

ワークライフバランスの支援

  • 休憩時間の適正な確保
  • 居心地の良い休憩室の整備
  • 防犯面も配慮した使いやすいロッカールームの整備
  • 喫煙所の設置や、喫煙ルールの作成
  • 職員のスキルアップを支援する制度づくり

チームワークを良くする活動

  • 理念・方針の理解と共感
  • 事業所のビジョンの明確化
  • 報連相の教育とシステム化
  • 社内懇親会や行事の企画
  • チューターやメンター制の導入

ES調査(職員満足度調査)の実施

  • パートや短期採用も含め全職員に実施
  • 個人が特定されないよう配慮
  • 本音を聞き出す工夫
  • 定期的に実施することで経年変化も把握する

研修計画の立案

  • 処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅱ等を満たす計画の立案
  • 職場環境等要件の資質の向上、各項目の理解と実施
  • 助成金を活用した研修計画の立案
  • 研修の実施と報告書等の作成
  • 職員の自発的研修参加の支援(受講料補助など)

シニアメンターの起用

 職場環境を良くするには、様々な取り組みが必要になります。しかし、マニュアル整備やルールづくりなど、日々の業務に手いっぱいの中では後回しにされがちです。

 特に人間関係は、マニュアル通りにはいきません。微妙な心の擦れ違いが原因となっていることが多く、絡み合った糸をほぐすのは時間がかかります。お互いの損得や利害が絡めば当人同士の解決というのはより難しくなります。

 全く中立で、冷静に判断してくれる「仲裁役」がいたら・・。と、思いませんか。損得や利害とは関係なく、少し離れた立ち位置から温かい目で見守ってくれる。そんな仏のような人はいるわけない?

 小規模事業所では、社長は孤独です。どんなことがあっても、弱音を吐いたり愚痴を言ったりすることはできません。どうしてよいか分からない時は、不安な気持ちにもなります。

  • 判断に迷う時、背中を押してくれる
  • 暴走しそうな時は、ブレーキを踏んでくれる
  • 落ち込んだ時は、笑い飛ばしてくれる

 シニアだからこそできること。それは、少し下がった位置から暖かく見守ること。メンターとしての役割は、孤独なオーナーにも、若い新人職員にも、心の支えとしてとても大事です。

 顧問や先生の肩書きではなく、普段は若い職員と一緒にフロアーで働き、職員たちの働き方に目を配る。何かの時には心の支えとなり、時には厳しい叱責をする。

 シニアメンターは、職場環境を良くする必須アイテムです。