定着のための職場整備

 長く安定的に働いてもらうには、働きやすい職場であることが第一です。

 働きやすい職場であれば、余計なことに煩わされず、介護サービスに力を尽くせます。介護職員は利用者の幸せを願って介護そのものをしたいと思っています。そのために、できるだけストレスを減らすように配慮する必要があります。

  • 理念・方針
     事業所(経営者)には、確固たる信念に基づく理念・方針が掲げられていますか?曖昧であったり、朝令暮改の号令だったり、進む方向が分からないと、職員は「ついて行きようがない」のです。迷うのはロスがあります。道はしっかり示しましょう。
  • 組 織
     指示系統・命令系統が明確でないと、末端の職員が一番振り回されることになります。そういう職場は結果的に何か起こった時に責任の所在が不明確になり、建設的な問題解決をすることができません。
  • 風 土
     社内の空気感は、採用直後には特に敏感に感じます。風通しの良い社風であることが望ましいですが、上下の間に隔たりがあったり、同僚同士でも人間関係が微妙であったり、難しいものです。経営者、管理職は、常に職員の声に耳を傾け、小さな問題を排除する配慮が必要です。
  • 将来性
     事業所のビジョンは打ち出せていますか。多店舗展開や、多角営業(他業種進出)、業界ナンバーワンを目指すなど、職員が夢を持てるような経営計画を立てることもお勧めです。絵に描いた餅にならないような堅実な計画を立てましょう。
  • 研修計画
     介護サービスの資質向上のため、職員のスキルアップのため、研修計画がしっかりと立てられていることは、職員のやる気につながります。研修そのものがやる気をあげる内容であることももちろん、研修計画を立てることが職員の信頼につながります。
  • 待 遇
     仕事で得た報酬を生活の糧にする以上、給与はシビアな現実として重要視されます。ここで注意しなくてはいけないのは、目先の給与額だけではなく、処遇改善が適正に行われるかどうかです。将来的にどうなるかも含めての提示が大切です。
  • 働きやすい現場
     シフト調整やフロアーの動線など、日々の業務に直結する働きやすさを整えることも忘れてはいけません。現場の職員は、小さなことでストレスをためていきます。一つ一つは取るに足らないことに思えても、軽く考えずに「解決する意思」を示すことが大事です。
  • 利用者の存在
     職員の数に比して利用者が多いのも困りますが、何より一番困るのは、肝心のお客様がいない状態です。せっかくの介護の技術や知識も発揮しようがありません。そして、「営業活動に追い立てられること」は職員にとってストレスです。

 離職の多くは、管理職と職員との「意識の溝」が原因です。溝を埋めるには、介護保険制度の基本や介護の本質を理解し、職員の気持ちを理解することが大切です。

 今、介護事業ではマネジメント力の強化が求められています。<職員目線を持つマネジメント人材の育成>および<ビジネスセンスがある介護職員の育成>が必要です。

 介護事業のマネジメントは、<福祉の心>と<経営の現実>の両方を理解していないと務まりません。


少人数だからこそ大切な指示系統の明確化

 スタッフが少人数の場合、指示・命令は管理者1人でも切り回せます。しかし、少人数だからこそ指示系統を明確にする必要があります。

 1人1人の役割が大きく、存在感が高くなると、個性の強いスタッフのカラーに染まりやすくなります。また、お互いの気兼ねや遠慮が、なあなあの関係を構築しがちです。

 あるべき姿をしっかりと分かったうえで、フレキシブルに協力し合える関係を構築することが大切です。

 例えば、経験が長いというだけで権限があると勘違いする場合があります。個人の個性の強さが、職場全体に影響を与えると、本来業務に支障をきたします。

ベテラン職員の意見が強いケース

 指示系統を明確にし、お互いを尊重し合える職場づくりを目指しましょう。

生活相談員が連絡調整の核になるケース